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山形 ラーメン事情
米沢市

米沢ラーメン コシのある極細手もみちぢれ麺
南陽市

からみそラーメン こってりスープに激辛からみそ ドン!
酒田市

酒田のラーメン 自家製麺率日本一!港町あっさり系
山形市

冷しラーメン スープに氷が浮かぶ冷涼系ラーメン
「冷たいラーメン」とも。
新庄市

愛を
とりもつラーメン
鳥ガラスープに鳥モツ。一杯まるごと鶏
長井市

馬肉ラーメン スーパーで馬肉を売る町、必然の一杯
天童市周辺

鳥中華 和風度の高い、そば屋ラーメンの代名詞
河北町

冷たい肉中華 鳥中華とも、冷しラーメンとも違うルーツ。
谷地名物から生まれた独自の一杯。



 山形人はラーメンが大好きだ。

山形市のラーメン支出額が日本一という点にも、それは如実に現れている。
 (※総務省統計局・家計調査 外食中華めんの調査結果による)

 何故、これほどまでにラーメン好きなのか?よく言われるところでは・・・

@そば屋のラーメンがハイレベル

 山形はそば処。数百件の店が林立するが、その多くでラーメンも出す。
こだわりの蕎麦職人たちはラーメンにも一切妥協なし!
 そばの技法を活かしたラーメンや「鳥中華」を生み出し、挙句にラーメンの方が人気となり、「ウチは蕎麦屋だ!」と頭を抱えている店主も珍しくない。

 「そば屋でラーメン」。これが消費量の底上げに貢献している。


A冷たいラーメンの存在

 県民性の本などでよく採り上げられる説。
最近まで日本最高気温の記録を保持していたほど暑い、山形の夏。

 そんな中、昭和27年に山形市の栄屋本店「冷しラーメン」を編み出した。
スープに氷が浮くこの一品のお陰で、酷暑でも消費量が落ちないのも一因。


Bラーメンをご馳走だと思っている

 どうもラーメンを、相当ちゃんとした食事として捉えている傾向が見られる。

 そのためか、友人とのお出かけに、来客のもてなしに、家族での外食に。
山形人がラーメンをチョイスする機会の、なんと多い事よ・・・


 そして、何といっても

C多彩なご当地ラーメンの存在が上げられるだろう。

 山形県は山がちで川も多い。
各地方が分断されている為か、県内でも地域性が大きく異なる。
 方言・習慣・そして食文化。ラーメンもその例外ではない。

 ・そば屋がラーメンをはじめた 山形。

 ・極細手もみ麺から入った 米沢。

 ・鉄棒麺打ち「桿麺」技法が伝わった 港町・酒田。

 ・ラーメンスープと味噌汁と特産の唐辛子を組み合わせた 南陽市・赤湯。

 ・鳥モツ好きな新庄に、 ・馬肉を好む長井。

 土地ごとに地元の嗜好や特産品をラーメンに取り入れ、それぞれにご当地ラーメンを生み出してきたのだ。

 結果、他地域の人間には「?」モノだが、地元では熱狂モノのラーメンが数多く誕生したという訳である。



 このサイトの趣旨は山形の「濃いとこ」紹介

 ここで紹介しているのは、山形の「おいしい」ラーメンではない。
そういうのは他に幾らもサイトがあるので、そちらにお任せするとしよう。

 ご紹介するのは、地元民の・地元民による・地元民のためのラーメン達。
そんな「地に足の付いた」そこでしか食べられないご当地ラーメンだ。

 当地にお越しの際は、是非ご賞味あれ。




米沢ラーメン
そばの店ひらま 米沢ラーメンの王道的存在。
山大前やまとや 濃厚スープが人気。
米沢ラーメン、例外の代表格。
こやなぎ 米沢でも屈指の極細縮れ麺はあっさりスープと好相性

 大正時代前半、中国人が引いた屋台がルーツ。
大正12年には日本人にも技法が伝わり、現在に至るとされる。

 米沢ラーメン、最大の特徴はにある。

 多加水麺(40〜50%)は極細でコシが強く手もみで繊細なチヂレが加わったチリチリする独特の食感が心地よい。

 また米沢は「毎日でも食べたい!」ほどのラーメン好きが多い町。
結果、後味すっきりのあっさり醤油味が主流となった。(無論例外はある)

 自家製麺率も高く、店ごとに異なる味の食べ歩きも一興。

 最後に。いきなり「そんぴんラーメン」(塩味海鮮ラーメン)や「まんぎりラーメン」(米沢牛入り高級ラーメン)から入るのはお勧めしません。
(あくまで個人的見解ですが。)

 素直に『中華そば』系メニューから入るのが基本でしょう。





からみそラーメン
龍上海
全店めぐり

からみそラーメンの元祖。
県内7店舗+αを完全制覇!
有頂天の元祖 多彩なトッピングで楽しめる、
からみそラーメンの人気店
龍上海山大前店 車で行きやすい龍上海
赤湯とんとんラーメン 龍上海系の正統を継ぐ味。下手な支店より龍上海度高いかも。
本家よりメニューは豊富。
ラーメン魔王 東根市のからみそラーメン店。
河北町にも支店。

インパクトあるビジュアルと味を誇る、超個性派ラーメンとして有名。

 モチモチ・シコシコの手打ち極太ちぢれ麺、濃厚なこってりスープ、とどめに青海苔とピンポン玉大の真っ赤な『からみそ』がドンとトッピングされている。
 好きな量だけ溶かし、辛みを自分で調整できるのが文字通りミソ。

 出自ははっきりしている。
南陽市赤湯は龍上海の先代・佐藤一美氏が産みの親だ。

 売れ残りのスープを味噌汁に仕立てたものをヒントに、特産品の石焼南蛮(赤唐辛子)を練りこむなどの試行錯誤の末、昭和35年に誕生!
 その経緯は龍上海公式HPに詳しい。

 札幌みそラーメンとは別の源流から産まれた、独自の味噌ラーメンだ。
なお、赤湯ラーメン(しょうゆ味)も同じスープなので、これまた独特。

 2008年現在、龍上海は県内に7店舗。
更に、この流れをくむ店も東根〜米沢の各地に存在する。

 いわば、龍上海系のからみそラーメンを出す店を紹介しています。




酒田のラーメン

酒田のラーメン/公式ホームページ

味龍 一言、麺が強い。
三日月軒
東中の口店
鉄棒打ち麺の代表格。
柔らかくモチモチした食感。
三日月軒
中町店
基本メニューは中華そば一本。
鉄棒打ちの細麺はコシが強い
半月 製麺業からラーメン屋に。
中太麺は質・量とも高水準。
川柳  創業昭和23年、酒田を代表する老舗。丁寧な仕事から生まれる昔ながらの中華そばは、時代を超えて支持されている
 
 大正15年に中国人が中華そば屋を開業したのが発祥とされる。
その技は、今も市内に数店舗ある「三日月軒」などに受け継がれている。

 酒田ラーメンを語る場合、自家製麺率日本一の話から入らねばなるまい。

「ラーメン屋なら、麺が打てなきゃ話になんねの」とまで言われてきた土地柄。
実に80%以上の店で自家製麺のラーメンが食べられる。

 これは何を物語るのか。そう、店によって麺が全然違うのだ。
やわらかモチモチ麺あり、極太ウェーブ麺あり、色白ストレート麺ありetc。
複数の手打ち麺を使い分ける店すら存在する。

 故に「これが酒田ラーメンだ」との定義付けは難しいのではなかろうか。
一部人気店の味だけで断ずるのは、木を見て森を見ずといった所だろう。

 共通点とすれば40〜50%という加水率の高さと、200g前後という麺のボリュームといった所か。酒田ラーメンの主役はやはり麺にある。

 スープの方は、港町らしく魚介の旨みを前面に出したあっさり味が主流だが、これまた店ごとにオリジナルであり、一概には言えない。

 ただ、庄内・酒田は食材の宝庫。特産のトビウオやサバブシ、庄内豚に野菜など地元産素材を使い、無添加にこだわる店が多いようだ。

 酒田ラーメンの楽しみ方。
それは、手打ち・食材王国の個性派ラーメンめぐりにあるのかもしれない。






山形・冷しラーメン
栄屋本店 冷しラーメンの元祖。
「冷し中華」もちゃんとある。
でも実は蕎麦屋だ。
五十番飯店  山形駅東口の中華料理店が出す冷たい中華。
修ちゃんラーメン
山形駅前本店
 駅前繁華街にあり、遅くまで営業している。
 
 『冷しラーメン』。言うまでもないが冷やし中華ではない。
暑い山形の夏にぴったりの、キンキンに冷えたラーメンである。

 ポイントは『冷涼感』

 スープには氷が浮かび、食べていると後頭部がキーンとしてくるという、驚異のラーメンだ。

 冷しラーメンは、実はラーメン店よりむしろ蕎麦屋に人気店が多い。
開発したのも老舗のそば屋、栄屋本店

 世に出たのは昭和27年。
常連客の一言に触発された当時の店主・阿部専四郎氏が研究に着手した。

 ラーメンのカテゴリを外さず、かつ冷たくするには非常な困難を伴ったが、コクや油との激闘の末、ついに完成!

 今では吹雪荒れ狂う真冬でもメニューから外さない、看板商品にまでのし上がった。

 そば屋が生んだラーメン界の異端児

 あるいは、麺を冷・暖両方で食べる蕎麦屋だからこそ出来た発想だったのかもしれない。

 その作り方を聞くと、いとも簡単に教えてくれる店も珍しくない。
気風がいいのもあろうが、教えた所で容易には真似できまい、という職人魂さえ感じられる。それほど丁寧な仕事をして、冷しラーメンは世に送られるのだ。

 そう、冷たいラーメンは決してゲテモノ料理ではない。 
誇り高いそば職人による意地の作品。それが「冷しラーメン」なのだ。

※このラーメンの呼び方は様々ですが、開発者に敬意を表し、ここでは栄屋本店に準じて「冷しラーメン」と表記しました。



新庄・愛をとりもつラーメン

新庄市役所HP内 愛をとりもつラーメン

山形県メールマガジン 愛をとりもつラーメン
特集

一茶庵支店 とりもつ界屈指のあっさり感。
ぬるまラーメンも素敵。
梅屋 「愛をとりもつラーメンの会」
事務局でもある店

  新庄は以前から養鶏が盛んで、祝い事などでは欠かせない食材だ。
鳥のモツ煮も、食堂などでは定番のメニュー。

 ラーメンも土地柄を反映して、鶏ガラ中心のあっさり系が多い。

 やがて客がラーメンに鳥モツをトッピングして食べるようになり、昭和30年代には「とりモツラーメン」がメニューに登場していたという。

 そんな自然発生的に誕生したラーメンだけに、味付けや使用部位は店ごとに異なる。食べられる店は15軒、食べ比べるのも面白い。

 「モツ煮込みのラーメン」と聞くと、クセの強い味を想像されるかもしれない。
さに非ず、モツの旨みとコクを活かしつつ、臭みはしっかり抜いてある。
 
 鳥モツには脂身が無く、かつ栄養価は高いというヘルシーな食材。
そして鳥だけに、鶏ベースのあっさりスープにジャストフィット!
 全体として意外なほどさっぱりした味に仕上がっている。

 ガラからモツまで、食材を活かしきったこの一品。
鶏の食べ方をよく心得た、新庄だからこそのラーメンと言えるだろう。

 「愛をとりもつラーメン」という微妙なネーミングは、もちろん最近のもの。
あきらかに駄洒落くさいが、全く根拠がないわけでもない。

 新庄市は「毎日、織姫星(ベガ)が真上を通過する、日本唯一の町」でもあるからだ。 新庄市の緯度(38度45分)と、ベガの赤緯(38度44分)がほぼ一致するために起きる現象だと言う。

 織姫と彦星が織り成す七夕のロマンス。新庄は愛の街でもある。
愛と とりもつの 新庄らしいラーメンじゃないですか。




長井・馬肉ラーメン
かめや食堂 見た目の割にあっさり。だが、非馬肉ラーメンとは何かが違う。
新来軒 薪で茹でる馬肉ラーメンの老舗
まる久支那そばや ここもあっさり味。昭和の風情を残す佇まいも良い。

 『馬肉』 ラーメン界ではあまり馴染みのない食材かもしれない。

 では、長井ラーメンの何が馬肉なのか?
スープにも、チャーシューにも、全てにおいて馬肉を使用しているのだ。

 ここ長井は、馬肉食が盛んな地。
肉屋の看板には「馬肉」の文字が躍り、地元スーパーでは豚や牛と共に、馬肉やその加工品を日常的に売っている。

 たとえ余所の人間になじみが薄くとも、ここでは当たり前の食材だ。
故に、ラーメンを馬肉ベースで作ったとて、何の不思議な事があろうか。

 なお、ここでは便宜上「馬肉ラーメン」と呼称しているが、この品を提供する店のほとんどに於いて そんなメニューは ない。

 当然のように「中華そば」や「支那そば」とあるのが馬肉ラーメン
なのだ。

 その味は、馬肉という響きや漆黒スープの見た目に反し、意外とあっさり系。
しかし、確かに何かか違う。長年の常連客を虜にする、何かが。

 馬肉チャーシューは店ごとの個性はあれ、独特のクセを抑えるために濃い目の味付けが基本。歯ごたえある噛みごごちと相まって存在感がある。

 馬肉を知る長井で生まれた、あたりまえの馬肉ラーメン。
ラーメン界の地平は、まだまだ広いという事を認識させてくれる一杯だろう。




天童市周辺・鳥中華(鴨ラーメン)
水車生そば 手打ちそばの名店が産んでしまった、ジレンマの人気メニュー
寿々喜そば屋
(山形市漆山)
 中華そばが人気のそば屋の一つ。とり中華は甘みの強い独特な味わいで、ねぎたっぷり。

 冒頭の通り、山形では「そば屋ラーメン率」がきわめて高い。
そんなそば屋が生んだラーメンの代表格が「鳥中華」

 鳥そば用のツユをベースにしたラーメンで、鰹節の風味に鶏のコクと甘みが加わった和風スープは、中華麺にもよく似合う。

 その名を県内に知らしめたのは、天童温泉の「手打水車生そば」

 そば粉100%の極太手打ちに絶対の自信を持つ田舎そばの名店なのだが、店員の賄いとして作った鳥中華が、裏メニューを経て今や人気メニューだ。
 ただ、店としては正直な所、そばの方を食べてもらいたいらしいが・・・

 なお、姉妹品(?)に天童名物「鴨そば」から派生した「鴨ラーメン」がある。
鶏よりも濃厚な、野趣あふれる味わいが特徴。

 ラーメン専門店では滅多にお目にかかれない、そば屋ならではの一杯だ

 なお、気をつけて頂きたいのは、同じそば屋でも「中華そば」と「鳥中華」では、スープが全く異なる場合があるという事。

 おおむね、鳥そばのダシをほぼそのまま使うのが「鳥中華」、昔ながらのあっさり系ラーメンが「中華そば」だと思って頂きたい。

 両方ある店に行ったら、同行者と食べ比べするのも面白い。

 



河北町 冷たい肉中華
定助そばや 和風濃厚スープにシコシコ麺。
ラーメンも人気のそば店
いろは分店 肉そばの人気店らしい肉中華。
いばらき 冷たいラーメン寄りの肉中華。
夜も営業、酒の〆にもぴったり

 ここで言う肉中華の「肉」は、鶏肉のこと。100%間違いなく。

その名前から『冷たいラーメンに鶏肉を乗せただけだろう』と思われる方もあろうが、さに非ず。

 当サイト内「山形のそば」でも紹介している、河北町谷地の「冷たい肉そば」
そこから進化したのが「冷たい肉中華」である。

 上記の他、「冷たい肉そば」で紹介している店でも食べられます。

 冷たい肉そばは、鶏の旨みが印象的なスープにコクのある鶏油が浮き、冷たくすることで蕎麦のシコシコ感をアップさせるという、谷地独特のもの。

 そばよりもむしろラーメンに近い属性を持つこの一品、大正時代に誕生した時点で、既に中華麺との出会いは必然だったのかもしれない。

 具は肉そばのスタイルを踏襲し、歯ごたえある鶏肉とネギのみというシンプルな構成が基本。
 
 熱くもできるが、冬でも冷たいのが基本だ。そのほうが蕎麦同様のシコシコ感を引き立ててくれる。「冷たい」とは言え、こちらは水温程度だ。「冷たいラーメン」のように氷で冷やされている訳ではない。

 山形にありながら、冷たいラーメンとも、鳥中華とも全く異なる進化系統から生まれた独自の味、「冷たい肉中華」

 谷地ではやはり肉そばが主流だが、個性派和風中華として、ラーメン好きなら試してみる価値はあろう。

 


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