桜の季節に国道13号線を南陽市から上山市方面へ北上すると、道路の左側に数十本の桜がライトアップされているのを見ることが出来る。周囲に人工物が少ないので、あたかも闇夜に浮かび上がるような幻想的な光景だ。
そこが岩部山三十三観音。江戸時代に彫られた磨崖仏だ。
江戸時代、天保の大飢饉による餓死者と、乱れた人心を救おうとした地元・松林寺の住職、金毛和尚が三年かけて作らせたもの。
西国三十三観音を巡礼し、写し取ってきた像をもとに石工に依頼。その熱意にうたれた飢饉に苦しむ地元民の協力もあって、資金難などを乗り越え完成させたもの。江戸時代の信仰を示す例として貴重なものになっている。
低山ながらも険しい山中をめぐり、点在する三十三観音をお参りする参拝形式で、鎖を伝って登る山頂からの眺望も素晴らしい。
最近、石切り場(旧山形県庁の建築にも使われたという)に大きな慈母観音も彫られ、ライトアップコンサートなども実施されている。
この山の麓に作られた駐車場周辺に桜が植樹されており、冬場は雪に閉ざされる山に観音めぐりの季節が到来したことを知らせてくれる。
なお、最近開通した新道は岩部山の下をくぐるトンネルを通るため、道路から駐車場には行けません。手前で旧道に入って下さい。
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