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2005/3/9現在の情報 |

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『雪国』
雪の降らない地にお住まいの方には、或いはロマンチックな響きなのかもしれません。
又、雪国の楽しみとして雪遊びやウインタースポーツ、又観光資源としても雪は大きな存在である事は間違いありません。
しかし、雪国の人間にとって雪との付き合いは、冗談抜きで命がけの戦いです。
例えばここ数日の「山形新聞」から雪関係の記事を抜粋し、ダイジェストでご紹介してみましょうか・・・ |
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・2/2朝刊 「大雪 交通網切り裂く」
1日から全面通行止めになっていた国道47号は同日午後8時、ようやく片側相互通行となり、
約12時間ぶりに通行が可能となった。
2日零時には全面的に規制が解除された。戸沢村古口地区では1日未明からスリップなどにより路上で動けなくなった車が相次いだ。一台づつ牽引などしたため除雪作業は数ヶ所で一時中断され、大幅に遅れたという。
・2/2朝刊 「JR75本運休、5600人影響」
(75本で5600人・・・のどかだ)
・2/2朝刊 「O町 雪下ろし中、転落死」
午後2時50分ごろ、自宅の屋根の雪下ろしをしていたAさん(67)が、約7メートル下の池に転落しているのを家族が見つけた。
病院に運ばれたが午後5時20分、死亡した。死因は窒息死。
O署の調べによると、Aさんは午後2時半ごろ、足を滑らせ池に転落。さらに、屋根の雪が滑り落ちたと見られる。命綱を付けていたが、解けていたという。命綱の端が池周辺の雪から出ているのに気付いた家族が近所の人と掘り起こし、午後3時半ごろ119番通報した。
・2/2朝刊 「雪害の防止へ啓発強化要請」
県は1日、大雪や除雪作業に伴う死傷者が増えていることから各市町村に対し、住民への啓発強化を緊急通知した。
県消防防災課によると同日現在の死傷者は81人(うち死者6人)
(注・今シーズン本格的に降り始めたのは大晦日。一ヶ月ちょっとでこの犠牲者です)
・2/2朝刊 「小中3校休校」
1日、大雪の影響で最上地域の3小中学校が休校したほか、13校が授業を途中で打ち切った。
・2/1夕刊 「除雪作業中指二本切断」
1日午前6時55分ごろ、S市の自宅で除雪作業中の無職Cさん(71)が、除雪機に指を挟まれ、
右手の指二本を切断する大ケガをした。
S署の調べによると、Cさんは小型除雪機を使って作業をしていたが、シューター部分に雪が詰まったため、取り除こうと手を入れたところ指を挟まれた。エンジンは停止させたがモーターの回転が止まる前だったという。
・2/1朝刊 「屋根から落ちた雪で生き埋め、けが」
31日午後4時ごろ、S市で自宅の軒下の除雪をしていた Bさん(81)が、
屋根から落ちてきた雪に生き埋めになった。
家族や近所の住民がすぐに救出したが、Bさんは足に軽いけがをした。事故当時、屋根には約60センチの積雪があった。
・2/1朝刊 「羽田−庄内2便欠航」
羽田発庄内行きの全日空○○○便は、庄内空港上空の雪による視界不良で着陸できず、引き返した。折り返しの便も欠航。
・3/2朝刊 「雪の事故 死傷者152人」
今冬、雪に絡む事故による県内の死傷者が1日、150人を突破した。
過去 10年で最多だった2000年度の220人に次ぐ水準。
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これらは雪国の「影」のほんの一部にすぎません。
雪ある限り毎年、こんな闘いが続いていきます。
ところで非雪国の皆さん。

って言われて、どんなもんだかピンときますか?
分からないって方もご安心を。私が「雪かき」の基本をレクチャー致しましょう!
これであなたの家にいつ雪が降っても大丈夫です!
ええ、こっからはいつもの軽いタッチでやらしてもらいますから、肩の力を抜いてどうぞ。
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●その一、「スノーダンプ」多い日もこれで安心。
山形県民なら一家に一台必ず置いてあるダンプ。といってもダンプカーではもちろん無く、雪かきの基本となるアイテムです。
他の除雪グッズにも共通してる点ですが、とにかく「軽くて丈夫」がコンセプト。
雪ってかなり重くてかさばるんですわ。これを一気に、かつ大量に集め、邪魔にならない所にまとめておくのが除雪のキモ。そのために重宝するのがこの「スノーダンプ」です。
破損しやすい先端をステンレスで強化し、軽くて丈夫なポリカーボネート製のカラフルボディが素敵なこれさえあれば、誰でも簡単にたくさんの雪がかたづけられるって寸法。
雪を積み込めば下も雪。実に良く滑りますんで、あとは目的地までスイスイっていう雪国の必需品。
(撮影地:山形のローカルホームセンター「ジョイ」)

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●その二、「スノースコップ」
スノーダンプで雪を運んだはいいが、限りあるスペースが雪でいっぱいになってしまった時や、スノーダンプでは大きくて手に余る細かい所を片付けるって場合はスノースコップの出番。
これで積み上げたり、ダンプからこぼれた雪を集めたり、軒先のつらら落としたりと多岐に渡って使えます。
真ん中の画像みたいに大きいのは、少しでも軽量化をはかるため穴がたくさん開いてます。屋根の雪下ろしミッションの時もこれが主力兵器です。
このスコップとダンプの使い分けが自在にこなせる様にならねば、雪国では一人前と認められません。修行は小学校の低学年から始まります。
雪国から出ない限り、生涯続く闘いです。

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●その三、「雪押し器」(新兵器ゆえに未だ通称は確立していない。)
近年開発された新兵器。スノーダンプを持ち出すまでもないが、スコップでやるにはちと広い、って時に威力を発揮してくれます。
名前の通り、雪を押して片付けるという至ってシンプルな代物。若干カーブがついてるので、ちょっとしたスコップ代わりにも使えて便利。
少しだけ降った日の通路開設や駐車場確保はこれ一本でOK!そんなに雪が降らない地域の方こそ、一家に一本常備しておくと便利なアイテムかもしれません。ネットででも取り寄せてみては如何?

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●その四、「スノーブラシ」
雪の降る日に車を野天へ停めておくと、あっという間に中央の画像みたいなありさまになります。
このままじゃ走れないし、屋根の雪を放置したまま発車すると、信号などでブレーキかけた時にフロントガラスに一気に落ちてきて大変な事になります。
そんな時は「スノーブラシ」。
伸縮自在で屋根の雪も簡単。ブラシ部分で雪を払い、窓にこびりついた氷はブラシの反対側にあるへら状のゴムでそぎ落とす。しつこい氷は根元に装備した強化プラスチックのへらで削り取る。これで冬でもすぐに視界良好な運転環境を展開できるって寸法です。三得ナイフみたいな逸品。

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●その五、「マリンブーツ」
使用例の画像を見てピンと来た方がいらっしゃるかもしれませんが、作業中海釣りや漁業関係者御用達のマリンブーツをはいております。
これ、雪片付けの時実に使えるんですわ。滑りにくいし、あったかいし、防水加工だし、何より上のほう縛っておけるんで、深みに足を踏み入れても靴の中に雪が入ってこないってのが素晴らしい。
特に豪雪地帯では普通に外を歩く時もこれが一番なんで、外回りの営業マンなんかもこれをはいてお客さんの家に平気で訪問し、客の方でもそれが当然と驚きもしません。
山形に来て日が浅い方。怒っちゃいけませんよ。普通のブーツや、まして革靴なんかじゃ、外を歩けませんって。

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●その六、「小型除雪機」
雪かきは重労働です。
運動量としてはスコップや一輪車などで行う、昔ながらの土木作業にほぼ匹敵します。
上記の人力による除雪は、体力のない人や駐車場を持つお店や事業所ではとても追っつかない作業です。
そんな時には「除雪機」の登場!前面のロータリーで雪を掻き込み、上部のシューターから吹き飛ばすという、荒っぽいが頼れる機械です。
しかし便利さの裏には危険が伴う。冒頭の記事でもありましたが一歩間違うと重大な事故を引き起こす危険をはらむ、諸刃の剣です。
でも、仕方ないんですよ。これ使わないと家が埋まりますから・・・

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●その七、「除雪車」
冒頭の新聞記事にでも触れてましたが、道路にも平等に雪は降ります。
そんな時に出動するのが「除雪車」!雪国でしか見られない特殊型も多数存在する。
雪の量や目的によってたくさんの種類があります。大きく2タイプに分けられるかと。
@建機の流用
道路除雪は建設会社に委託される事が多いので、そこの建設機械を流用して除雪するタイプ
→パワーショベル型、モーターグレーダー型、ホイールローダー型、ブルドーザー型など
A除雪専用の特殊車両
地方自治体や国土交通省が所有する、冬にしか使わない特殊車両たち
→ロータリー型、ラッセル型、除雪トラック型、消雪トラック型など
実に多彩。”はたらく くるま”大好きな子供なら泣いて喜ぶ事でしょう。
これは税金で稼動してますんで、各自治体は毎年除雪費で何億円という予算が吹っ飛びます。
冬場の雇用対策以外に何ら生産性のない経費なんで、もったいないといえばもったいない話。
毎年起きる災害みたいなもんです。
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ブルドーザー型
土木工事同様、汎用性
の高い機体。 |
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ホイールローダー型
集めた雪をダンプカーに
積んだり、まとめたりする |
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ホイールローダー型(小)
「LAWSON」のロゴ入り。
お店の自家用除雪車。 |
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ロータリー型
雪を掻きこみシューター
で吹っ飛ばす。
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モーターグレーダー型
(ノーマル)
機動力に優れ、混雑時
にも出動できるのが強み
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モーターグレーダー型
(強化タイプ)
巨大なブレードを装備
して除雪機能大幅アップ。
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●その八、消雪道路
雪国には、真ん中にコンクリートの帯が入っている道路がたまにあります。
良く見ると丸い金具がはめ込まれてます。これぞ消雪道路。
ここから地下水などを噴き出して雪を溶かすって仕掛け。毎年晩秋になると役場の人が水の出る穴に詰まったゴミなどを除去して回り、冬の訪れが近い事を感じさせる風物詩になってます。 |
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雪との付き合い方のイロハは、これで一通り伝授致しました。
さて、続いては山形県内の「豪雪地帯」めぐりと参りましょうか。

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